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北が倒れる日…三星大暴落、江南生き地獄、青瓦台は?
【平和が優先する】「戦争の追憶」を封印する本
記事入力 2011-12-23 午後6:47:00

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2012年4月15日。金日成の誕生日「太陽節」、休戦ライン近辺の北朝鮮軍一部が銃口を南側でなく北側に向けた。2011年12月17日の金正日死後「金正恩体制」に不満を抱く北朝鮮軍内反対派がクーデターを試みたのだ。平壤近辺で局地的な交戦があり、このニュースはそのまま全世界に打電された。

交戦のニュースが伝わるや否や、アメリカはすぐにバラク・オバマ大統領名義の声明を発表した。「北朝鮮体制の変化を鋭意注視しており、特に北朝鮮の大量破壊兵器と核兵器が韓国・日本・台湾など友邦を脅かす事を座視はしない」日本横須賀の米軍第7艦隊所属航空母艦が東海と南海近くの公海上に移動した。

こうしたアメリカの動きに中国が即刻反応した。「中国は金正恩を含む北朝鮮権力と緊密な連絡を取っており、北朝鮮内の騒擾事態を契機にアメリカをはじめとする第3国が内政干渉することを座視しない」中国もやはり2011年に試験運航した自身の航空母艦を黄海へと前進配置させた。

2012年4月16日。実際に騒動が起こったのは北ではなく南であった。4月11日総選挙の興奮がまだ冷めやらぬ南では、北から聞こえて来た銃声によってパニックに陥った。最も鋭く反応したのは株式市場である。年初1800台から上下していた株価指数はそのまま急落した。外国人達の「売り」殺到で、政府の為替市場防御にも関わらず為替相場が急に上がった。

2012年4月18日。北朝鮮の平壤周辺で散発的な交戦が依然として続きながら、朝鮮半島の緊張は一層高まった。中国軍が金正恩の承認の下で鴨緑江を越えるという軍の発表があった。米軍の動きも早まる。アメリカは金正日の死後、北朝鮮で内乱が発生した場合に備えて作った「作戦計画5029」に手を付けた。それに従って米軍と韓国軍の一部が北朝鮮へと越えて行くという展望が出た。政府は否定も肯定もしなかった。

2012年4月19日。この日の「ニューヨークタイムス」はアメリカ政府が韓国居住米国人の撤収を準備中であると報道した。買い溜めで大型ディスカウントショップの品物が空になる。特にソウル江南の同様はひどい。仁川国際空港は韓国を脱出する外国人・内国人が入り混じって大騒ぎになる。大学生と市民の何人かはアメリカと韓国の介入は即戦争につながるとし、「人間の盾」となって板門店へ向かう路上で占拠籠城に入った。

2012年4月20日。ブラックフライデーである。100万ウォンを超えていた三星電子株価が40万ウォン台に落ち込んだ。一度落ち始めた株価指数はすでに500台に届く最中であった。金価格が暴騰し、油を確保しようとする人波で給油所で長蛇の列が出来る。この渦中に一部企業が資産を海外移転させるという噂が証券街を中心に飛び交った。

2012年4月23日。平壤だけでなく鴨緑江付近でも交戦があったという話が聞こえて来た。中国軍の介入に反対する北朝鮮軍内部の仕業だとする主張、アメリカが唆した反金正恩派の仕業という主張が飛び交った。李明博大統領は地下シェルターで国民向け談話を発表する。「南側に及ぼす余波を最小化すべく努力しており、生業に従事するよう」

2012年4月24日。青瓦台高位人士を含む政府主要人士の家族一部が仁川国際空港から海外に脱出する写真がツイッターに公開された。政府は「怪しい噂」を遮断する為に主要ポータルサイトをはじめとするインターネットサービスを無期限中断した。インターネット新聞がサービスを中断した隙に、いくつかの保守マスコミは「平壤万壽台の金日成銅像が引き倒された」と報道した。もちろん誤報である。

黄砂よりもさらに濃い恐怖が朝鮮半島を覆った。残忍な4月である

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孫文祥(ソン・ムンサン)画

2011年12月19日正午、北朝鮮の金正日国防委員長の死亡ニュースが伝えられて5日が過ぎた。これまでの5日間に韓国の主要マスコミは一斉に「北朝鮮崩壊」の可能性を点検した。1990年代中盤(金日成主席死後)に朝鮮半島を揺るがした「北朝鮮崩壊論」が再び顔を上げた。新しく登場した「金正恩体制」が軍部の支持を取り付けられずに不安定になる可能性が大きいというのだ。

先に粗末な想像力で書いてみた仮想シナリオは、本当に北朝鮮崩壊が起これば実際に何が起こるかを想像してみたものである。この仮想シナリオでは、北朝鮮崩壊を占う者達が見過ごしている重要な点を強調した。北朝鮮に問題が生じれば南がそのまま直撃弾を受けるという事実である。シナリオが見せる仮想状況が「オーバー」だと? 常に現実は想像を超えるものだ。

米軍がイラク・アフガニスタンを百日攻撃しても、アメリカ市民の日常生活には問題がない。だが北朝鮮で銃弾が飛び交う瞬間に韓国市民の日常生活は風飛雹散、粉々になる。なぜなら、休戦ラインはソウルからせいぜい1時間、平壤はせいぜい2時間あれば行ける距離にあるからだ。

「プレシアンbooks」が2011年送年号の貴重な紙面を「北朝鮮を良く知る」為に割いたのもこうした重大な錯覚を矯正する為である。進歩と保守の対立も、福祉と市場の対立も、生態と開発の緊張も全て韓国という共同体-社会が温存しての話だ。「戦争の追憶」を再び呼び込んで何をどうしようというのか?

皆で一緒に死のうと? いや、仮に戦争が起こっても「自分達」は充分にアメリカへ逃げ出せるとでも?


・第1の質問:北朝鮮は果たして崩壊するだろうか?

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▲「丁世鉉の情勢トーク」丁世鉉 著 書海文集 刊(日本未訳)

大型書店の北朝鮮書架へ行くと埃をたくさん被った本で一杯だ。それも大部分は冷戦時代に書かれた「金日成は角が生えている」といったレベルのがほとんどだ。こうした中で、果たして一部の大学では、それもいくらも残っていない北朝鮮学科をなくしてしまおうとしている。北朝鮮の些少な動き一つで朝鮮半島の政治・経済・社会・文化が揺さぶられるのに、北朝鮮研究の土台を壊してしまおうというのか?

そうした埃にまみれた本の中でまず第一に読むべき本は、南北交流の生き証人である丁世鉉元統一部長官(円光大学総長)の書いた「丁世鉉(チョン・セヒョン)の情勢(チョンセ)トーク」(朝鮮語で丁世と情勢は同音 訳注)だ。2008年7月15日の第1回を初めに全60回続いた「プレシアン」の人気連載「丁世鉉の情勢トーク」を本にまとめたものである。李制勲(イ・ジェフン)「ハンギョレ21」編集長の評を聞いてみよう。

「外交・安保・統一分野担当記者達の間では『李明博政権の政策をまともに批判する一つのガイドライン』の役割をしているという話が膾炙されている。(…)酒場の討論で意見の違う知人との間で『心の橋』を掛ける道を発見出来るものと信じる。(…)この本は専門書籍10冊以上を読んだ後で感じる知的喜びと開眼を読者達に与えてくれるものと信じる」 (関連記事:漆黒のようなMB時代、「情勢の灯台」を灯せ! )

金正日国防委員長死亡ニュースが伝わり、マスコミで金正恩体制の不安定性が語られるや否や、真っ先にこの本を取り出したのもそのせいであった。まず丁世鉉元長官が北朝鮮崩壊についてどのように分析しているかをもう一度確認してみたかった。案の定、丁元長官はこのように簡潔に北朝鮮崩壊の展望を一蹴する。

「3代目後継者として知られる金正恩は歳が若く様々な経験が不足しており、大した能力がないから、必然的に倒れる以外にないというのです。ですが、朝鮮王朝時代の歴史を見てもそうした場合がたくさんありました。若い世子が10台後半や20台初頭で前王の後を継ぐと、重臣達がその若い王を良く輔弼しました。そうして朝鮮王朝500年を引っ張って来たのです。

金正日委員長も朝鮮時代の重臣に該当する元老達が輔弼してここまで来たのです。(…)北朝鮮体制が自由民主主義的選挙で政権の正統性が認定される体制であれば、金正恩体制は長くもたないでしょう。しかし、今の北朝鮮政権の正当性は選挙でなく血統によって決定されています。北朝鮮は事実上王朝と見なければなりません。

王朝は血統で正当性を規定するのであり、重臣達が支えればそのまま進むのです。これを無視して、後継者の年齢が若いから崩壊するだろうというのはあまりにも浅はかな事です。北朝鮮を批判する時は独裁国家だの王朝だのと批判しておきながら、展望する時には民主主義の尺度を押し当てるのは矛盾です。(…)北朝鮮体制の将来を展望するなら、体制危機要因だけではなく、体制保全要因も同じく分析して比較せねばなりません」(同書65-68頁)

こうした分析にアメリカの韓国現代史研究者ブルース・カミングス教授(ノースウエストン大学)も共感を示す。カミングス教授は20日アメリカ軍事専門誌「ディフェンスニュース」とのインタビューで「北朝鮮の元老指導層は金日成から金正日へ、また金正恩後継体制へと転換する過程を率いて来た」とし「これらが金正日と金正恩の間の橋渡しの役割をするだろう」と指摘した。(関連記事: 「北朝鮮元老指導層が金正恩体制転換を導くだろう」

・第2の質問:北朝鮮は非常識な「ならず者国家」なのか?

「私は金正日を憎悪する。金正日はピグミーだ」(ジョージ・W・ブッシュ元米国大統領)


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▲「金正日コード」ブルース・カミングス 著 南成旭(ナム・ソンウッ) 訳 温かい手 刊
英語原題 North Korea: Another Country. The New Press, 2004.
日本版題名「北朝鮮とアメリカ――確執の半世紀」杉田米行 監訳 明石書店 刊

金正日国防委員長死後、北朝鮮に対する韓国および西側マスコミの態度を一言で規定するなら「嘲弄」だ。金正日の遺体の前で嗚咽する北朝鮮女性の態度を見せながら「常識的には理解出来ない」というキャスターのコメントが付いて回る。だが1979年10月26日に朴正熙元大統領が死亡した時、当時の大韓民国はどうだったか? あの時も独裁者の死に通りのいたる所で嗚咽する者達であふれた。

北朝鮮というのは不明瞭な国だ。だがあの国にも長い時間の間に蓄積したそれなりの論理を持った国である。ちょうど今の視点で見れば、500年も持ち堪えるのが信じられないほどだった朝鮮王朝がそれなりの論理を持って運営されていたようにだ。ブルース・カミングス教授の「金正日コード」(日本版訳題「北朝鮮とアメリカ――確執の半世紀」明石書店 刊)は北朝鮮を理解する鍵を提供する本だ。

カミングスはこの本で「北朝鮮が一切の反対を許さない強圧的国内政治」を持つようになった責任の相当部分を、朝鮮戦争当時に北朝鮮を「灰燼」にしたアメリカの「恐るべき破壊」に求める。カミングスは「戦争が静まってきた1951年春以後にもアメリカは2年間北朝鮮に猛攻を浴びせた」と指摘する。そして我々が沈黙するこの爆撃で300万人の北朝鮮住民が犠牲になった。

カミングス教授はこの本で北朝鮮体制を擁護していない。ただ彼はアメリカと切っても切れない北朝鮮の歴史を振り返って、あの国を良く理解しようと努力する。

「北朝鮮には政治犯がいるのか? もちろんだ。国際赦免委員会によれば、最小で10万人にもなる。強制労働収容所があるのか? さらには最高幹部といえども統治者の意思に逆らえば家族達と共に隔離された地域で辛い肉体労働で虐げられる事を覚悟せねばならない。この体制が人間の自由を向上させるだろうか?

自由主義的観点から見ればそうではない。だが『朝鮮民族の為の自由』のように、自由という言葉が外国の侵略者に対する独立的な立場を意味してもいる韓国的な観点から見れば、そのように辛辣な判断をするのも容易くない。民族的自由独立は、イエスが誕生した頃から同じ場所で統合と統一性を維持してきた人々においては何よりも優先的な徳目だ。

(…)この国は最初の40年では植民地統治で、その次の60年は民族分断と戦争で深刻な傷を負い、周囲を取り巻く世界から威嚇を受けている不安定な国家だ。(…)時々北朝鮮では死の影と悪に近接した姿をうかがう事が出来る。旧世代達の苦痛に虐げられているような顔にもこうした感情がにじみ出る。

私は二つの感情を感じる。一つはみぞおちの下の痛みだ。私はそれらが正しいという事と、残酷な暴力が圧倒していた20世紀においても最も凄惨な戦争によって体験した苦痛を知る、何人にもならないアメリカ人の一人だからだ。二つ目はより恐ろしい思いで、アメリカ人達大部分が1950年代初頭に彼らの名前でほしいままにした戦争の惨劇を知る事もなく、頭から感心すら抱かないという点だ」(金正日コード 251-253頁)

そしてカミングスは耀德(ヨドッ)の強制労働収容所で家族と共に10年間閉じ込められていた姜哲煥(カン・チョルファン 現・朝鮮日報記者)氏の経験に言及しながらこのように問い返す。アメリカは非常識な「ならず者国家」という嫌疑から逃れられるだろうか?

「(姜氏は)収容所で生き残ることが出来、10年間収容された前科が平壌居住や大学入学、それにエリートの地位に入るのに必ずしも障害にならないという事実を証言する。反面アメリカでは監獄が黒人で一杯の、強制労働収容所を持っている。(…)そこでは全ての黒人青年の25パーセント以上が監禁されている。これが警察国家である北朝鮮の言い訳にはならないだろう。

だが北朝鮮に後ろ指を指す前に、アメリカ人達がまず自分達の中の都市が持つ病弊に対して何かを試みるべきだという事実を強烈に示唆している」金正日コード 142-143頁)

・第3の質問:北朝鮮は平和を準備しているだろうか?

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▲「冷戦の追憶」金錬鐵(キム・ヨンチョル) 著 フマニタス 刊
日本語版も同題名 李準悳(リ・ジュンドッ) 訳 平凡社 刊

「金正恩体制」の北朝鮮はどのような道を選択するだろうか? 韓国のマスコミは絶え間なく問い返す。だがこのような質問は愚問だ。なぜなら、北朝鮮がどのような道を選択するかは北の意思だけではなく、韓国の意思に掛かっているからだ。すなわち、先の質問はこのように改めねばならない。「金正恩体制」と共存する為に韓国はどのような道を選択するのか?

金錬鐵教授(仁済大学)の「冷戦の追憶」(日本版は平凡社より刊)は60年の冷戦期間に「線を越えて道を作った」人々の話である。「戦争の恐怖」が圧し掛かった60年間の歴史を数10もの逸話を通じて検証するこの本を読みながら、再三悟らされたのは(南と北を問わず)その恐怖を通じて権力を維持しようとしてきた者達の実態だ。

例えば、1994年北朝鮮の金日成主席が死亡(7月8日)する直前に何があったのか? 金泳三元大統領は1994年6月をこのように回顧する。

「あのとき、私はクリントン大統領と大勝負をしました。そのとき私が闘わなかったら、恐らく南北戦争が起こっていたでしょう」(日本語版145頁 訳注)

韓国に分からぬようアメリカが戦争を検討し、金泳三元大統領がそれを防いだというのだ。だが金錬鐵教授によれば、「金泳三の言葉は嘘である」当時米クリントン政権中心人物3人が書いた本を読めば、金元大統領はクリントン大統領と電話通話をしていない。彼らは正反対の事を証言する。

「北に対する制裁を終始煽り立てたのは金泳三自身であって、韓国は米軍の軍事力増強につき、全て把握していた」(同145頁)

北朝鮮との戦争恐怖で「買占め旋風」を呼び込んだ1994年夏の騒動は金泳三政権が作り出したものであった。金泳三元大統領は6月6日「北朝鮮が無謀な冒険を強行すれば自滅と破滅の道へと進むだろう」と警告した。先立って青瓦台は北の核報道を広めてくれという依頼を放送社に行い、6月9日から放送は戦争危機、北の核問題を集中報道した。

ジミー・カーター元大統領の訪朝でこの騒ぎは一段落したが、金泳三元大統領は止まらなかった。

「(カーターの)訪朝が決まると金泳三大統領はクリントン大統領に電話をし、『訪朝は失策だ』と非難した。(…)金泳三政府は、交渉へのさまざまなアプローチを遮断しながら北の核問題を危機へと追い込んできたのである。成熟した国民意識を安保不感症となじり、行政網を通じ結果的に買い占め騒動を引き起こした。(…)江南地区の富裕層が見せた買い占めはまさに『作られた恐怖』だった」(同154頁)

あまつさえこのように「作られた恐怖」で戦争を維持しようという試みが、2000年南北首脳会談のような平和に向かう旅程へと反転出来たのは金大中元大統領をはじめとするいわば「平和勢力」の努力であった。林東源(イム・ドンウォン)元統一部長官の「ピースメーカー」は本の題名通り「ピースメーカー」の隠れた努力を生々しく見せてくれる。

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▲「ピースメーカー」林東源 著 中央ブックス 刊
日本語版題名「南北首脳会談への道―林東源回顧録」波佐場清 訳 岩波書店 刊

林東源元長官は「ピースメーカー」で2000年南北首脳会談が成就するまでの過程をドキュメンタリーのように生々しく伝える。だがこの本の本当の核心は1990年から10年間の南北交流を扱った後半だ。その過程で陸軍士官学校出身の軍人として27年間「ピースキーパー」として働いた林元長官が「ピースメーカー」へと変化したからである。彼はこのような変化をこう説明する。

「第一に、世の中が変わりました。(…)(1960-1970年代)韓国は自由陣営の前線基地として共産主義からの侵略に対処せねばならない時期でした。しかしすでに冷戦は終わりました。(…)第2次世界大戦後に分断された国々は全て統一を成し遂げました。もはや反共が問題ではありません。朝鮮半島でも冷戦を終息させて分断を克服し、平和的に統一を成し遂げるかどうかが問題です。

あらゆる思想と政策はその時代の落とし子です。時代が変わったのに古い時代の思想と考えに固執し続ければ落伍者に成り果てるでしょう。(…)第二に、すでに北朝鮮の変化は不可避です。今は世界史の大転換期です。(…)北朝鮮の変化を賢く誘導し、安保の脅威を根源的に解消し、停戦体制を平和体制に転換させる「積極的平和」を作っていかねばなりません。

これが今や我々が追及すべき、戦わず目標を達成する不戦勝戦略です。今まで申し上げた二つの理由、二つの状況認識に従って、今私は平和を守る消極的なピースキーパーの衣装を脱ぎ捨てて、積極的に平和を作って行くピースメーカーとしての召命を果たそうとしているのです」(同書164-166頁)

「共産主義批判と対共戦略論を講義し、自主国防を叫んで軍事力増強計画を主導された強硬な反共保守主義者が、なぜそのように変わられたのですか?」在郷軍人会が主催した講演で少なからず失望したという口調で質問を投げかけたある聴衆に、林東源元長官がした答弁だ。こうして「ピースメーカー」が誕生した。彼の言葉を要約すればこうなる。

南が変われば北も変わる。


・最後の質問:朝鮮半島に希望はあるか?

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▲「北朝鮮研究」徐東晩著作集刊行委員会 編 創批(チャンビ 創作と批評) 刊(日本未訳)

好むと好まざると南北は運命共同体だ。南で問題が生じれば北で涙が流れ、北で問題が生じれば南がとばっちりを食う。こうした状況をそのままにしておけば、南も北も根本的な変化は不可能だ。早くから白楽晴(ペッ・ラッチョン)ソウル大学名誉教授はこれを「分断体制」と命名し、2009年に突然世を去った徐東晩(ソ・ドンマン)元尚志大学教授はそれをこのように説明した。

「韓国において平和・福祉・経済の新しい跳躍は共に進む以外にない関係にあり、体制の性格と発展水準が違う北朝鮮の場合も南北が共にやってこそ望ましい発展を成し遂げる事が出来る。(…)平和・福祉・開発を連携した「南北協力発展」構想を実行可能な政策として準備すべき時だ」(同書374頁)

丁世鉉元長官の話を再び聞いてみよう。

「統一費用を計算するのにいつも投資費用ばかり計算して、分断時代に不可避な支出だった分断費用を抜いていなかったのです。統一されれば分断費用は統一費用に転換される為、統一費用を計算するなら投資費用から分断費用を抜いてこそ純投資費用が出るのです。なのにそれを見落とす場合が大部分でした。
(…)7000万を超える国内市場を持って南はハイテク、北は労働集約的産業を発展させれば最近の中国のように高速成長も可能です。最近は青年の失業が心配ですが、南であれ北であれ職場が増えるのは当然の結果でしょう。(…)南北が経済交流・協力をして南北経済共同体を作って行く過程でです。(「丁世鉉の情勢トーク」26-30頁)

徐東晩教授・丁世鉉元長官が語る方向は「夢想」ではない。それこそ我々が必ず現実化しなければならない「課題」だ。そうした道を修めねば朝鮮半島に希望はないからだ。


2013年6月15日。南北首脳が済州島で出会った。先立つ4月15日北朝鮮政府は核兵器放棄を宣言した。今回の首脳会談はこうした北朝鮮の宣言に合わせてさらに緊密な南北間の交流協力懸案を調整し、さらには世界に宣言する場としての性格が大きい。一方、この馬で南は済州島海軍基地建設を中断し、済州島を「平和の島」と宣布した。

2013年7月15日。政府は北朝鮮のエネルギー難解決の為に南で製造した風力発電機を持続的に供給する計画を発表する。政府は西海岸一体に風力発電産業団地を造成し、そこで生産された風力発電機を海路を通じて北朝鮮に運搬する計画だ。こうした発表に合わせて北朝鮮は原発建設を電撃中断する。

2013年8月15日。金正恩朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長がニューヨーク国連総会で演説した。この場で彼は北朝鮮の変化の努力を説明し、国際社会の各種経済制裁を解くよう訴えた。韓国政府がこうした北側の立場に共感を表しながら、この日国連総会では電撃的に北朝鮮支援の為の決議案が通過する。

2013年12月17日。国際社会の支援で北朝鮮の経済市場が急速度で好転しながら、北朝鮮体制が安定する徴候が所々に現れた。この日金正恩委員長は、開城のように南の企業が入る経済特区を北朝鮮の各所に5ヶ所以上作る計画を明らかにする。そして南北大学の相互学問交流を提案し、まずは北朝鮮の大学生数百人の南への留学を建議した。

2014年1月1日。金正恩副委員長が2014年を「希望の行軍」元年と宣布した。金副委員長は南側と国際社会の支援に格別の感謝の意を表した。彼は2012年ロンドンオリンピックで不動となった南北統一チームを2014年仁川アジア大会、ブラジルワールドカップでも見る事になるだろうと大きく出た。

一方、南北政府は数年間にかけて南北の国文学者達が共同で制作して2013年に発表した「民族言語大辞典」に合わせて教科書・公文書の正書法を改める事を決定し、実務作業に入る。こうした動きに呼応して南側のいくつかの出版社は「民族言語大辞典」に合わせて編集をすると宣言した。


同時に読む本

丁世鉉の情勢トーク」丁世鉉 著 書海文集 刊(日本未訳)

「金正日コード」ブルース・カミングス 著 南成旭(ナム・ソンウッ) 訳 温かい手 刊
日本語版題名「北朝鮮とアメリカ――確執の半世紀」杉田米行 監訳 明石書店 刊

「冷戦の追憶」金錬鐵(キム・ヨンチョル) 著 フマニタス 刊
日本語版も同題名 李準悳(リ・ジュンドッ) 訳 平凡社 刊

ピースメーカー」林東源 著 中央ブックス 刊
日本語版題名「南北首脳会談への道―林東源回顧録」波佐場清 訳 岩波書店 刊

北朝鮮研究」徐東晩著作集刊行委員会 編 創批(チャンビ 創作と批評) 刊(日本未訳)

ブルース・カミングスの「金正日コード」(北朝鮮とアメリカ――確執の半世紀)と共に北朝鮮体制の成立過程を仔細に調べる事の出来る本は徐東晩の「北朝鮮社会主義体制成立史1945-1961」(先人 ソニン 刊)である。徐東晩のこの本は全世界の北朝鮮研究者必読書の座にある力作だ。そればかりか北朝鮮内の研究者もこの本を参考にするという評判だ。

李鍾奭(イ・ジョンソッ)の「新たに書いた現代北朝鮮の理解」(歴史批評社 刊 日本未訳)、「北朝鮮の歴史」(李鍾奭・金聖甫(キム・ソンボ) 共著 歴史批評社 刊)、白鶴淳(ペッ・ハッスン)の「北朝鮮権力の歴史:思想、独自性、構造」(ハヌル 刊)も現代北朝鮮の「根幹」を理解する為の必読書に数えられる。現在の南北関係を「分断体制」の枠で分析した白楽晴の次の仕事も朝鮮半島の状況を理解する為の良い指針になる。

「揺れる分断体制」(白楽晴 著 創批 刊)
「朝鮮半島式統一、現在進行形」(白楽晴 著 創批 刊)

カン・ヤング記者

訳 ZED

韓国語原文記事はこちら。
http://www.pressian.com/books/article.asp?article_num=50111223131654&Section=05

記事本文が長くなったので、詳しい訳者解説はまた後日書きます。とにかく金正日死亡後も予想通りというか、日本の報道はクズのようなレベルのものしか見当たりません。相も変わらぬ「北朝鮮崩壊論」「金正恩暴君説」などなど…。何の参考にもならないばかりか有害ですらある流言蜚語ばかり飛び交うのは実に歯がゆく腹立たしいもので、ここはやはり韓国の理性的な報道や良書を参考にするのが一番と思い、プレシアンの書評記事を今回は御紹介しました。


 

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